アクセラレーターとは何か?その意味とインキュベーターとの違いについて解説

2021年11月3日

アクセラレーターとは何か?その意味と解説

世の中の急速な変化により新規事業の成長も厳しさが増す中、注目を集めているのが「アクセラレーター(accelerator)」の存在です。アクセラレーターがどのような役割を果たし、スタートアップや企業にどのようなメリットをもたらすのか、ご紹介します。

1.アクセラレーターとは?

アクセラレーター(accelerator)とは英語で「加速させるもの」を意味する言葉です。そこから派生し、現在では「スタートアップや起業家をサポートし、事業成長を促進する人材・団体・プログラム」を指す言葉として使われています。アクセラレーターは1を10や100へと拡大させる「事業開発」や「事業成長」にもフォーカスして支援を行うのが一般的ですが、ゼロから1を生み出す「事業創出」にも携わるケースもあります。一般的なアクセラレーターは主にシード期を過ぎた企業を対象とし、数週間〜数か月という短期間でビジネスを急成長させる支援プログラム(資金投資・ノウハウ提供など)を提供します。

2.インキュベーターとはどう違う?

アクセラレーターとよく似た概念の言葉として目にするのが、「インキュベーター(Incubator)」です。両者の大きな違いは支援対象と目的にあるといわれています。一般的にアクセラレーターが主にシード期以降のスタートアップや一般企業内の新規事業部門にフォーカスしビジネス拡大の支援を行うのに対し、インキュベーターはまだアイデアしかないシード期以前のスタートアップにフォーカスしてイノベーション実現を支援します。その他にも、支援を提供するまでのプロセスや支援のスタンスにも違いがあります。
■ 一般的なアクセラレーターとインキュベーターの違い(一例)

目的
ーアクセラレーター:ビジネス拡大
ーインキュベーター:インキュベーション実現

対象
ーアクセラレーター:シード期より後のスタートアップ/ベンチャー企業/一般企業内の新規事業部門
ーインキュベーター:シード期以前のスタートアップ/起業して間もないベンチャー企業

支援期間
ーアクセラレーター:短期間でのビジネス拡大を目的とするため短い/数週間〜数か月
ーインキュベーター:開発・実験プロセスなどが含まれる場合も多く比較的長め/数年〜期限なし

プロセス・スタンス
ーアクセラレーター:アクセラレーターがビジネスプラン(概要)を公募し、選考したものに対して支援を行う。支援を受ける企業の自由度は高め
ーインキュベーター:信頼できる企業から推薦を受けたビジネスプラン(概要)のみを対象とし、その中から選考されたアイデアや技術に対して支援を行う。支援を受ける企業の自由度は低め

その他
ーアクセラレーター:ビジネス拡大までの期間短縮、収益性の高いビジネスプランの実現が可能
ーインキュベーター:ものづくり的な視点だけでなくビジネスモデル構築も支援に含み、高い価値提供を目指せる

インキュベーターと同様、よく似た言葉に「ベンチャーキャピタル(VC)」があります。スタートアップ企業の成長支援という点ではアクセラレーターと立ち位置は同じですが、アクセラレーターの目的が「ビジネス拡大」であるのに対し、ベンチャーキャピタルは「利益配当や、株式・事業売却による差分配当」を目的としており、目指すベクトルが異なります。

3.事業創造を加速させる場「アクセラレータープログラム」

スタートアップや一般企業内の新規事業部門に対し、アクセラレーターが支援を行うことにより共創・協業を目指すプログラムを「アクセラレータープログラム」と呼びます。アクセラレータープログラムの一般的な流れは、まずアクセラレーターがビジネスプランの公募を行いビジネスプラン(概要)について審査します。支援するスタートアップや企業を決定後、メンターによるビジネスプランのブラッシュアップ・教育プログラム、ツールやリソース提供、オープンイノベーション関連イベントへの参加などを数か月間に渡って続け、ビジネスプランをより具体化させていきます。さらに実証実験によるビジネスモデルの検証なども行い、最終プレゼンテーション「デモデイ」でお披露目を行います。

アクセラレータープログラムでは、より多くのビジネスの種を育てたいという思いから、審査のプロセスを設けていません。アクセラレーションを希望するすべてのスタートアップや一般企業内の新規事業部門に対し、有償できめ細かな支援を行っています。

アクセラレータープログラムを活用することで、スタートアップやベンチャー企業にとっては、支援者が持つリソースやノウハウを得て、アイデアを形にして世の中に送り出せるメリットがあります。また、一般企業内の新規事業部門などにとっては、支援者のノウハウやネットワークを利用することで自社内のイノベーション活動を促進し新しい領域に進出できたり、既存事業の課題解決につなげたりと様々な可能性を広げることができます。つまり、アクセラレータープログラムは企業規模を問わず様々なメリットをもたらすとも言われています。

4.今、大企業でもアクセラレーターが求められる理由とは

スタートアップがビジネス拡大を左右するアクセラレーターを必要とするだけでなく、実は大企業でも今、アクセラレーターに注目が集まっています。その理由は、急速な世の中の変化により大企業が提供すべき“価値”が激しく変化していることにあると考えられます。大企業は経営リスクや既存事業とのバランスを重視するがあまり、新しい技術・アイデアへのチャレンジ精神に乏しくなることがあります。しかし変化の激しい時代において「現状維持」の状態は、むしろ経営リスクになり得ます。そこで社外の新しいアイデアや技術を取り入れてイノベーションを加速させようと、アクセラレータープログラムを取り入れる法人が増えてきました。

5.アクセラレータープログラムを受けるメリット

◆ 大企業における成長促進
イノベーションのサイクルは高速化しています。人々のライフスタイルや価値観が変化し続けている中、企業はこれまでのように品質の良いプロダクトを作るだけでは顧客に価値を提供する・利益を上げることが難しくなっていると言えます。アクセラレータープログラムを通して他企業が持つアイデア・技術を自社のイノベーションにつなげられれば、新規事業創出・既存事業の成長・成長鈍化のリカバリーなどの効果が期待できます。
また開発プロセスや意思決定に時間がかかってしまう、新規事業が立ち上げられていないといった大企業の組織構造は、世の中の変化に対応しづらくなる原因に。アクセラレータープログラムを利用してスタートアップやベンチャー企業とともにイノベーションを起こすことで、事業に多様性が生まれたり、既存事業の技術革新につながったりと、大企業が未来を拓く力を高めていくことができます。

◆ スタートアップにおけるリソース確保
モノと情報があふれる今、アイデアしか持たないスタートアップは顧客とつながって市場に受け入れられる状態にまで事業規模を拡大するのはますます難しくなっています。アクセラレータープログラムを利用すればアクセラレーターが持つ事業化のノウハウやリソースを活用でき、顧客のニーズにフィットする製品・サービスへとブラッシュアップしたり、適切な情報発信や財務・経営のサポートを受けられたりと、より事業成長の成功率を高めることができます。
また研究開発を経て生まれた製品・サービスを市場にリリースしてマーケティングを行い、ビジネスとして拡大させる必要がありますが、それには莫大な費用はもちろん、ニーズにマッチした付加価値を発信し市場に受け入られる状態へと導くノウハウが必要です。スタートアップは、アクセラレータープログラムによって豊富なノウハウ・実績を使用しビジネスを拡大することができます。

6.アクセラレータープログラムのタイプ

「アクセラレータープログラム」とひと口に言っても、運営方法には様々な種類があります。支援を行う側の目的やノウハウのレベルによって適切な運営方法は異なります。一般的な4つの型の特徴をご紹介します。

◆ 自社実施型
大企業が自社内のアクセラレーターを運営者として、公募・選定から実際の支援・運営までを一気通貫で行うスタイル。大企業側がアクセラレータープログラムに対する十分なノウハウを持っているかどうかが成功のキーになります。

◆ Powered by 型
大企業とスタートアップの間にアクセラレータープログラムを専門的に行う運営者が入って行うスタイル。第三者として双方のメリットを客観的に考慮しながら一定期間介入することで、成果を出しやすくなるのが特長です。

◆ N:Nマッチング型
アクセラレータープログラムを専門的に行う運営者が主体となり、複数社の大企業とスタートアップのマッチングを支援するスタイルです。多様なニーズに合わせて幅広いビジネスプラン・テーマの適合を専門家が行うことで、予想外のシナジーが生まれることも期待できます。

◆ 伴走型
アクセラレーターがより大企業やスタートアップに近い立場で寄り添い、継続的な事業拡大を見据えて風土改革や人材育成などにも深く関わるスタイル。大企業における新規事業を創出し続けられる組織づくり、スタートアップにおけるアイデアを事業化へとつなげる経営視点の磨き上げなど、参加企業に深く入り込んだ支援を行います。

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